ラズパイは実に様々な使い方ができますが、今回は小さなパソコンとして使うために、3.5インチのタッチスクリーン液晶モニターと2.4GHz無線トラックパット付キーボードを繋げる方法について扱ってみたいと思います。
目次
- 3.5inchタッチスクリーン液晶モニターの設定と使い方
- 2.4GHz無線トラックパット付きキーボードの設定と使い方
- まとめ
1. 3.5inch液晶タッチスクリーンモニターの設定と使い方
まずは3.5inch液晶タッチスクリーンモニターの接続についてです。amazonでは様々な3.5inch液晶モニターが売られていますが、最終的に選んだのがこちら。
OSOYOO HDMI 3.5インチLCDディスプレイ モニター タッチスクリーン Raspberry Pi 4 8GB 4GB 2GB 3 2 Model B に対応 (3.5″ HDMI LCD)
検討の結果、上記の商品を選んだ理由は下記の通りです。
- amazonにおける評価が比較的良好
- 自分の場合、専用ケースは不要
- amazonで売られている3.5inchタッチスクリーン液晶モニターで一番安い
開封した状態はこちらです。

パッケージには、本体、説明書の他に、Raspberry Pi 4用HDMIコネクタ(左側)とRaspberry Pi 3用HDMIコネクタ(右側)、タッチペンが含まれています。
この製品の場合、本体との接続に使用するのはHDMIなので、液晶モニターとしてしか使用しない場合は、ドライバーインストールなしで使用することが可能です。
電源ですが、GPIO経由で給電される仕様です。あるいは、電源用マイクロUSBポートから電源を取ることもできます。

上の写真の右側に液晶モニター本体の裏側が写っていますが、そのまま左側のラズパイ本体にひっくり返して装着し、最後にHDMIコネクタを差し込みます。
ひとまずラズパイ本体と合体させて電源を入れてみました。このような感じになります。明るさは十分でコントラストもまずまず。もうちょっとシャープな写りだと良かったですが価格を考えれば十分合格点だと思います!

ちなみに、HDMIケーブルの右隣1cm程のところに写っている小さな黒いボタンは、明るさ調整ボタンです。コントラスト調整はできません。
それと、すぐ上の2枚の写真では、この製品には含まれない他社(PIMORONI)製アクリル製ケースが装着されています。このように他社製ケースが装着済みであっても、CPUのヒートシンクやファン等の突起物がなければ、概ね干渉せずに装着できそうです。
解像度について
対応している解像度についてですが、初期解像度は480 × 320で、最大1920 × 1280までの複数の解像度・リフレッシュレートに対応しています。以下の解像度設定で動作確認してみました。
- 480 × 320(60Hz)4:3
- 640 × 480(60Hz)4:3
- 800 × 600(60Hz)4:3 ※上の写真はこの設定です。
- 1024 × 768(60Hz)4:3
- 1440 × 900(60Hz)16:10
- 1920 × 1080(60Hz)16:9
この液晶モニターは、仕様としては4:3のようですが、若干横に引き伸ばされたように見えます。若干アスペクト比が異なるのかもしれません。また16:9や16:10の解像度でも無理やり画面を引き伸ばして表示してくれます。ただ、あまり大きな解像度では事実上文字は読めなくなります。1024 × 768くらいまでが限界かなと感じました。
電源について
電源ですが、本体側に3A以上のアダプターを使用している場合、本体側からの給電のみで十分使用可能なようです。ですので、液晶モニター側のUSBに電源アダプターを接続する必要はありません。
放熱について
この液晶モニターですが、若干発熱します。ですので、その点を考慮して、ラズパイ本体との間に空間を作っておいた方がよいと思います。上記の他社製ケースでは、ちょうど空間ができるのでその点は問題なさそうです。
タッチスクリーン機能を使用する方法
付属のタッチペンを使うにはドライバーをインストールする必要があります。一応公式の説明ページがありますので、以下にリンクをご紹介します。
Raspberry Pi(RaspiOS)で
3.5” タッチスクリーン(HDMI版)のドライバーをインストールする
http://osoyoo.com/ja/?p=4244
この説明の冒頭で、rootのパスワードをアンロックして、rootユーザーに切り替えるようにという指示があるのですが、本当にこんなコマンドを実行する必要があるのかなと疑問に感じたので実行しませんでした。
この指示は結果的に不要だったようで、以下のコマンドを一行ずつ実行するのみで問題なくインストールできました。
sudo git clone https://github.com/kedei/LCD_driver
sudo chmod -R 755 LCD_driver
cd LCD_driver
sudo ./LCD35_hdmi
また、2行目にあるパーミッションですが、公式の指示では「777」にするようにとあったのですが、「777」にする必要があるのかなと感じ「755」として実行してみました。これでタッチスクリーンの機能は使えるようになりました。
タッチペンの使用感
タッチペンの使用感ですが、ペン先に対してマウスカーソルの位置が下側に1mm程度ずれていました。これはキャリブレーションの調整が必要そうです。なぜかメーカー側でキャリブレーションに関する説明が一切ないのですが、下記の方法で調整することが可能です。
キャリブレーションのやり方
キャリブレーションは「xinput-calibrator」をインストールして実行することで調整が可能です。
sudo apt-get update
sudo apt-get install xinput-calibrator
インストールが完了したら、「xinput-calibrator」を実行します。
sudo xinput_calibrator
注意点として、実行時は「xinput-calibrator」ではなく「xinput_calibrator」となりますので注意してください。ハイフンではなくアンダースコアになります。実行するとグレーの画面が表示され、左上側から順番に「的(まと)」が表示されますので、順番にタッチペンを使ってその中央をタッチしていきます。右下側の調整が完了すると自動で終了します。これでタッチ位置とマウスカーソルのずれが解消されるはずです。
ソフトキーボードのインストールについて
amazonの商品ページ内には、ソフトキーボードのインストールに関する説明もあるのですが…。
ソフトキーボードのインストールと明るさの調整
http://osoyoo.com/ja/?p=24261
その説明だけではソフトキーボードに文字化けが発生して使用できませんでした。
sudo apt-get update
sudo apt-get install matchbox-keyboard
// ソフトキーボードに文字化けが発生した場合は、こちらも実行
sudo apt-get install ttf-kochi-gothic xfonts-intl-japanese xfonts-intl-japanese-big xfonts-kaname
もし文字化けが発生した場合は、上記の3番目のコマンドを実行すれば解決します。
また、先ほどのページには、デスクトップにソフトキーボードのショートカット・アイコンを作成する方法も載せられていましたが、パーミッション変更に関する指示が抜けてました。パーミッションを変更しないと実行できないので、お忘れなく。
vi keyboard.sh
#!/bin/bash
matchbox-keyboard
// 説明漏れ
chmod 755 keyboard.sh
モニターの使用とGPIOの併用は可能なのか?
液晶モニターを使用しながら、GPIOを使いたいというケースもあるかと思います。ジャンパーコードをGPIOに挿して、液晶モニターと併用する場合は下記のようになります。

このように、液晶パネル裏面とジャンパーコードのコネクタ部の間に若干隙間が発生するので、なんとか使えました。ただ、奥側のピンに刺したジャンパーコードはかなり曲がることになります。
そもそも、購入前は併用は無理だろうと諦めていたので、これは嬉しい意味で期待を裏切られました。
2. 2.4GHz無線トラックパット付きキーボードの設定と使い方
お次は、今回購入した2.4GHz無線トラックパット付きキーボードについてです。購入した商品はこちらです。
開封した状態はこちらです。

横: 15.2cm × 縦: 5.9cmで、細身のスマホといったサイズ感です。
表面はマット加工がされており、手に馴染む感触。小さくて軽いし、バックライトはついてるし、トラックパットの精度もいい感じです。
また最大のメリットとしては、非Bluetooth(2.4GHz帯の専用USBレシーバ仕様)なので、ドライバーインストールが不要という点です。USBポートが付いている端末なら、ほとんどの端末で使用可能なはずです。もちろんラズパイも例外ではなく、USB専用レシーバをラズパイに接続しただけで使えました。
一つだけ残念だったのは、机の上に置いて使う時にしっかり固定されず、キータッチの際に少しカタカタ動いてしまう点です。タッチパネル側の側面にLEDライトが付いており懐中電灯として使えるのですが、このライト部分が僅かに底面から飛び出ており、それがカタカタ動いてしまう原因となっています。個人的には、このLEDライトは不要で、むしろ、しっかり机に固定できた方がありがたかったですね。
…まぁ、しかし。今までは、ラズパイをスタンドアローンで使う場合は、大きな有線キーボードを接続して使っていましたので、それと比べたらかなり取回しが楽になりそうです。
いずれにしても、自分の場合は、ラズパイで長文をタイプするようなケースは稀で、ちょっとコマンドを入力して実行したり、URLを入力したりするレベルの使い方しか想定していなかったので、そういう使い方を想定している人には、便利に使えるアイテムとしてお勧めできるかと思います!
3. まとめ
今回はRaspberry Pi 3や4にベストマッチする、小型タッチスクリーン液晶モニターと無線キーボードを紹介しました。どちらも細かい点では、改善して欲しいところがなかったわけではないですが、両製品とも安さがそれらの点を補って余りあるアドバンテージになっているなと感じました!お薦めなので、同様の製品を探していた方は、是非検討してみてください!
